小寺康友の名を冠した「ヤスベゼル」とは?
皆様こんにちは、トシです。
今回は、スカイストーンの小寺康友オリジナル・ジュエリーで特徴的なベゼルについて、話をしてみたいと思います。
ベゼル(Bezel)は英語で、一般的には「枠」や「額縁」を意味します。
ジュエリーでいう「ベゼル」は宝石をセットするための台座です。
ベゼルは大切な宝石をしっかりと固定する重要なパーツです。
手を抜いた疎かな作りのベゼルですと、石にダメージを与えたり、石が外れたりと不具合を生じさせてしまいます。
ベゼルは全体のデザインにも大きく関わります。
単に石留めということだけではなく、ベゼルにも個性と美しさが求められます。
たとえば、巨匠マッキー・プラテロ(Mckee Platero)のバングル。
多くの作家はルース(裸石)を加工せず、そのまま台座にセットしてしまいますが、巨匠は石にも手を加えて、ベゼルが石のエッジを綺麗に包み込むように整えています。
Mckee Platero Kingman bangle 270
https://www.skystone.jp/ja/products/detail/237
スカイストーン・トレーディングのオーナーであり、ターコイズジュエリーデザイナーでもある小寺康友が特に神経を集中して作るパーツも、このベゼルです。
そのなかでも特徴的なものが、ベゼルの石留め一本一本が三角形の爪のような形のベゼル、人呼んで「ヤスベゼル」です。
https://www.skystone.jp/ja/products/detail/306
この「ヤスベゼル」を命名したのは、実はナバホ出身の有名なジュエリーアーティスト、コディ・サンダーソン。コディは、スカイストーンが初めて日本に紹介したアーティストです。
小寺がアメリカでショーを開いた際、特徴的なベゼルを見たコディが、「ヤスベゼル」と名付けました。
熱く語りあるCody & Yasu (Heard Museum Fair & Market 2019 Arizina )
アメリカ人は皆、小寺を親しく「Yasu!」と呼びます。小寺オリジナルリングのスーパーハイグレードな石と、精密な細工は彼らの目を引き、この特徴的なベゼルのニックネームも広まりました。
加工途中のヤスベゼル。このように銀板をヤスリで削っていきます。
その後、焼入れ(高温に加熱した後に急冷させて硬度を上げること)などを行い、ベゼルを仕上げていきます。
この頑丈なベゼルがしっかり石を留め、外からの衝撃から石を守ります。
そして、ベゼルの石留めの爪で石の外周を巻いて固定して完成します。
実際に石留めを行う際にも小寺がこだわるのが、ベゼルの端と端の継ぎ目です。(石の外周をベゼルで取り巻くので、ベゼルの端と端の継ぎ目はどうしても発生する)いかにこの継ぎ目を目立たなくするかも計算して、ベゼルを制作しているのです。
石の形状に沿って、しっかりと爪が石を留めているヤスベゼル。ベゼルの継ぎ目の処理にも神経を注いでいる。
Lone Mt. Original ring 130
https://www.skystone.jp/ja/products/detail/291
このようにベゼルひとつにしても、高い機能と美を追求して、小寺はオリジナルジュエリーを制作しております。
⇓ 継ぎ目の合わせ処理が見劣りする例
こちらは、ヤスベゼルのバリエーションで、爪を斜めに配置したタイプ。「なんでわざわざ、こんな手が掛かるベゼルを作ってしまったのだろう?」と小寺本人が嘆く程、このベゼルを作るのは大変なんだそうです。
Kodera Original ローンマウンテン リング【2020 Reserved Edition】
https://www.skystone.jp/ja/products/detail/419
余談です。
私の愛車はコンパクトSUVのHONDA VEZEL(ヴェゼル)で、既に初代は手放し2台目に乗っています。2013年にテレビCMでこの車を見て、コンパクトカーでありながら、贅沢な輝きを感じ、ひと目惚れしてしまい購入しました。
HONDAによると名前の由来は、「カットした宝石の小さな面(Bezel)とクルマ(Vehicle)を組み合わせた造語」で、「角度によって表情を変える宝石のように、多面的な魅力と価値を持つクルマ」だそうです。
まさかその後、私がジュエリーの仕事に関わる事になるとは、その当時は思いもしませんでした。今となっては運命を感じます。