インディアンジュアリー界における屈指のアーティストであり、いまだネイティブアメリカンとしての伝統を重んじ、トラディショナルな生活スタイルを貫き通すリビングレジェンド、マッキー・プラテロ。
その作品から放たれる圧倒的とも言えるオーラ。独特なモティーフやスタイル、独自の考え方から生み出されていく世界観は、マッキー・プラテロだけが許されている孤高の領域である。
奇想天外な発想とも、斬新極まりないアプローチとも評価されるマッキー・プラテロの作品が、こうまでもインディアンジュアリーコレクター達の心をとらえている理由のひとつは、その“存在感”にあるという。
それでは、その“存在感”とは一体、なんなるものなのか。確かにマッキー・プラテロの作品には、虫(バグデザイン)をモティーフにスタンプしたものや、爆撃機や手榴弾を象ったものなど、一般的なインディアンジュアリーからは縁遠いようなシンボルが表現された作品も見受けられる。
それでは、そのような奇抜なモティーフを使っているからこそ生まれてくるのが彼ならではの“存在感”なのかというと、それは違う。多くのマッキー・プラテロ作品に触れてみれば触れてみるほどに、決してそうではない事が感じ取れるようになる。
たとえば、ごく普通とも言えるデザインのロープエッジリング(縄模様で周囲を縁取る装飾)や、キャストで成形されたナジャペンダントなどを取り上げてみても、やはりどこか決定的に他のインディアンジュアリーとは異なる空気感のようなものを纏っているのが、その証左でもある。
ひとつひとつの作業が、徹底して丁寧であること。そして、ひとつひとつの作業に対して、一切の労力を惜しまないこと。純粋に、ひたすらひたむきに打ち込まれていくスタンプひとつにも絶対的な完全性を求め、それが仕上がるまで寝食を忘れて一切、気を抜かないという尋常ならざるこだわり。
それらの集中力と、持続力の結晶が、マッキー・プラテロをマッキー・プラテロたらしめている源泉である事を、その作品ひとつを手に取り、そして身につけて使ってみれば、その違いは自ら明確に感じられると、古くからのコレクター達は口を揃えていう。
現代のインディアンジュエリー界で、名実ともに頂点に君臨しているレジェンド、マッキー・プラテロ。世界でも貴重なこのアーティストの作品を、本人との深い親交を通じて彼の作品群を、初期の頃から日本に紹介してきた。
数多いインディアンジュエリー作家のなかでも、マッキー・プラテロはナンバーワンの存在だ。
彼が生み出す作品の存在感は、他を圧倒している。彼のジュエリーは身に着けたときに作品の迫力がじかに感じられるのだ。大ぶりの作品は、確かにとても目立つがそれだけではない。ジュエリーにとって手や肌がキレイに見えるというのは、とても重要な要素だが、彼の作品はそんなところまでよく考えられているように思える。大胆でありながら繊細なのだ。
マッキー・プラテロのスタイルは、クラシック・リバイバルといわれる。古典的なアイテムを古典的な手法、つまりスタンプ、ハンマーワーク、インゴットといった彫金のテクニックを駆使してつくりあげる。
しかし、そこからが彼の真骨頂だ。「誰よりも発想力に富む現代のシルバースミス」と称されるように、彼のオリジナリティーが加えられると、古典的なモチーフも、まったく新しいものに生まれ変わるのだ。
彼の作品の特徴の一つが「平打ち」。ベースとなる銀の板を、普通なら機械で薄くするところを、彼は金槌で叩いて作りだしていく。その上ではじめてそこに刻印(スタンプ)を施していく。たとえばそこから生まれる微妙な厚みの違いが、肌につけて心地よく感じる。当然の事だが、作品ひとつを仕上げるのは準備の段階から、膨大な時間を要する。しかしそこまでやらなくては気が済まないというのがマッキー流なのだ。
もう一つの彼の特徴はスタンプそのものだ。みずから鉄の棒や釘を熱して、スタンプを作る。このスタンプをブレスレットなどに打っていくことで模様をつくる。いまはスタンプを専門に作る職人もいるし、レーザーで刻印ができるが、彼はすべて自分でスタンプを作って、それによってデザインを作っていくことにこだわっている。レーザで作られたスタンプはやはり、微かにエッジがダレてゆるくなる。その僅かな違いすら許容しないのがマッキー作品の特徴ともいえるだろう。
こうしたスタンプが一つでも欠ければデザインは完成しない。彼は頭にあるデザインやノートに書き留めた刻印を、ひとつずつ製作中のデザインに試してみて、納得がいくものがなければ何年も寝かしてしまう。そして欠けていたスタンプが完成することによって、はじめてジュエリーが完成するのだ。
彼が用いるもっとも古典的な技法に、チェッカーグレイビングがある。釘を使って稲妻のような模様を刻むもので、まだまるっきり道具がない1800年代にネイティブアメリカンたちが最初に使った技法といわれる。古典的な技法を現在のデザインに応用することも得意としているのだ。
さらにパーツ作りも妥協がない。一つ一つサンドキャストをして、それを削りだして円錐を作るといった具合に手間をかけていく。彼から直接貰い受けた円錐形のパーツを見ても、完璧な円錐となっているので驚く。いまでは工作機械を駆使すればいとも簡単に出来る事を、あえて、手でやっているだけでなく、その仕上がりが完璧である事には感服する以外ない。
彼はスパイニーオイスターというメキシコ湾でとれる、赤やオレンジの貝を好んでよく使う。これは、とても大きな貝殻を切って加工するが、彼の加工したスパイニーオイスターは独特の角度がある。特に側面のカーブが、彼なりのアールとなるのだ。それによって、銀で包んだときに全体的に丸みが出る。彼の作品は、どこから見ても丸っこい、そんなセッティングをしている。
僕が秘蔵していたランダーブルーのターコイズで彼にジュエリーを作ってもらった時も、とても高価な石だったにもかかわらず、どうしても自分で角度をつけたいからと、削ってしまった。妥協を許さないところが、彼のスタイルでもある。
彼は昔から「スタッキング」という何本もつけるタイプのジュエリーが好きで、1本のブレスレットに複数の線を刻んで、何本かしているように見せるという技法も得意だ。
弓の弦の跳ね返りから腕を守るボウガードや、キャンティーンという嗅ぎたばこを入れるケース、これは1800年代から1900年代初頭だけに作られたものだが、彼はリバイバルでこうしたクラシックなアイテムを作ることでも知られる。
そして正装をするときには、必ずボウガードとキャンティーンを着ける。さらにベルトのバックルをして、ナイフを持って、ネックレスをして、さらにいくつもジュエリーをつけて、というのが彼の正装だ。非常に背も高くてハンサムな作家であり、彼自身の存在感もインディアンではナンバーワンだ。
彼は常に正直にものづくりをしている。そうしたところに惹かれて僕は仲良くなり、「スカイホーク」というインディアンネームをもらったり、スタンプの作り方を教えてもらったりした。そんな彼は僕の師匠のような存在だ。
彼は本物のアーティストなので、作りたいものだけを作っている。僕は、そのなかでも、特にいい物だけを選んで紹介していければと思っている。
インディアンジュアリー界における現代最高のアーティストであり、いまだネイティブアメリカンとしての伝統を重んじ、トラディショナルな生活スタイルを貫き通すリビングレジェンド、マッキー・プラテロのとても希少なバングル。
■Category: | Bracelet |
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■Artist: | Mckee Platero |
■Origin: | Coral |
■Size: |
◆腕回り:15.4cm ※内側計測 ◆開口部:3.2cm、最大幅:5.2cm |