ターコイズフリークの間で最も人気の高い石といえばナンバーエイトをおいて他にない。突き抜けるような鮮やかなスカイブルーと、そこに張り巡らされる黒や茶色のマトリックスのコントラスト。蜘蛛の巣状の「スパイダーウェブ」が均等に入った石も美しい。そんな高いクオリティーのヴィンテージ・ターコイズを使ったフレッド・トンプソン作のバングルを紹介する。
この作品にはナンバーエイトで50年代に採掘された、クオリティーが非常に高いターコイズが使われている。マトリックスは線も細く、色もブラックで美しく入っておりバランスもよい。カットもきれいな楕円になっており、この当時ならではのものだ。
それだけでなく、このバングルに使われている5つの石すべてのクオリティーや石の色、雰囲気がどれもしっかりと統一されている。これが作品の完成度の高さを示している。
ブレスレッドに5つや7つの石を使い、左右対称にバランスを取るのは、インディアンジュエリーの典型的なスタイルだ。
ディテールを見ると、シルバーボールという円形の飾りが入れられており、これもバングルの強度を高めるため、伝統的に用いられてきたものだ。
そしてこの作品は、1970年ごろのものと思われるが、保存状態がとてもいいことが特筆される。もちろんどの石にも割れや補修は見られず、細かな部分までも製作当時のままきれいに残っている。
長くストックされていたものではないかと思われ、今では、ここまで状態がいい作品はなかなか見つけることができない。
実は70年代以前の同様の5つ石のバングルは、もっとサイズが小さいことが多い。このころになると、サイズが少し大きくなってきており、日本人の腕にもちょうどいいサイズ感となっている。
クラシックなスタイルと、現在ではほとんど目にしないナンバーエイトのクオリティーの高い石が5つそろっていること、そして適度なサイズ感が本作の魅力となっているのだ。
1930年代から、名門のトレーディングポスト・トーブターペンで職人として働いていたフレッド・トンプソン。職人たちのなかでもその腕を認められていた彼は、当時トーブターペンが手に入れていたもっともクオリティーの高いナンバーエイトのターコイズを使うことが許されていた。
そのため、彼の作品はクラシックで完成されたスタイルと、使われるターコイズの質の高さという二面において評価されてきた。
そして、もちろんどちらもフレッド・トンプソンのジュエリーを語るには欠かせない要素である。
彼の作品は、一見、ナバホの伝統的なスタイルに対しての忠実さをよく示しており、そこに頑なにとどまっているようにも思える。
しかし、細かなディテールを見てみると、彼独特の工夫を見ることができる。トラディショナルな造形ですら、その丁寧なシルバーワークによって、より高い次元へと昇華されている。
もうひとつ、彼の特色をあげるのであれば、バランスのとれた全体のフォルム。その美しさは、整然として決して破綻がなく、どんな作品もまとめあげる力量を感じさせる。この技量が彼自身と、最高のクオリティーのターコイズとの出会いを後押ししたものだった。
現代からするとクラッシックな彼のスタイルは、その完成度の高さゆえに、クラシックで逸脱のない作品であると思われているところがある。しかし、典型的なインディアンジュエリーとみなされる彼の作品においても、洗練された全体の印象は、彼の丁寧で高い技術と造形のセンスが組み合わせられなければ、生まれることのなかった作品群なのだ。
ターコイズフリークの間でもっとも人気を誇るナンバーエイト。スカイブルーとマトリックスのコントラストが見事な、最高のヴィンテージ・ナンバーエイトを惜しげもなく使ったフレッド・トンプソン作のバングル。
■Category: | Bracelet |
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■Artist: | Fred Thompson |
■Origin: | Number Eight |
■Size: |
◆内周:14.5cm ◆開口部:3.5cm ◆最大幅:2.5cm ※内周+開口部がおおよその腕回りとなります。 |