2018年に惜しくも亡くなってしまった巨匠、ジュリアン・ロバト。
モダンで気品を感じさせるその作品は、シンプルながらも、一目で彼の作品とわかる強い個性を宿している。
ジュリアン・ロバトは、卓越した技巧と長いキャリアを誇る、現代のインディアンジュエリー作家のなかでもレジェンドのひとりだ。作品から漂ってくるエレガントな雰囲気は、時代を超えた魅力を放ち、多くのファンがいるのも頷ける。
左右対称の整った美しい石を使い、シンプルなラインでデザインされた作品は、彼の代名詞。その造形美は、インディアンジュエリーの枠を超えて、多くの人の心を打つ。
しかし、ジュリアン・ロバトの作品のもう一つの顔は、ネイティブアメリカンとしての誇りを表現した造形だ。
例えば、このボロタイの装飾には、シンプルな4本のラインが使われるが、これは太陽を表すモチーフ。4という数も縁起がいいものとされている。
彼の作品は声高に個性を主張したり、過剰な装飾をまとったりはしない。しかし、シンプルなラインの一本一本に、みずからの誇りを刻んでいる。その思いの強さが、作品が放つ力であり、インパクトとなって伝わってくる。
彼の独自の美意識は、出身であるサントドミンゴ族、今でいうキワ族から受け継がれたものがベースになっているだろう。ただ、サントドミンゴのジュエリーといえば、ビーズをつないだ素朴なヒシネックレスが知られる。そこからすると、エレガントなジュエリーを作り続けた彼の存在は、異端児といえるかもしれない。
こうしたモダンな造形を学んだのは、イタリア移民であるフランク・パタニアの伝説的ショップ、サンダーバードショップに所属していた時代。ルイス・ロメイ、ジョー・H・クィンターナら、サンダーバードショップ出身の有名作家はほかにもいるが、サンダーバードショップの鷲のホールマークを受け継いだのは、ジュリアン・ロバトであった。それは、技量が卓越していただけでなく、欧州風のモダンデザインをインディアンジュエリーに持ち込み、革新をもたらしたパタニアのスタイルを受け継ぐ後継者として認められていたことを意味する。
そして長いキャリアの中で、そのスタイルを静かに進化させていった。
彼の円熟期は、1990年ごろから2000年ごろといわれる。この時代、ネバダブルー、インディアンマウンテン、ナンバーエイトといった産地の極めて質の高いターコイズを使い、作品を制作していった。
このボロタイの作品には、大きなネバダブルーのターコイズがはめられている。そのクオリティーは最上級のものだ。緻密で美しいマトリックスをとっても、左右対称の整った形状をみても、美しい澄んだブルーをみても、その価値の高さは歴然としている。
そしてシンプルながら力のある造形は、この石の魅力をさらに高めるように計算されている。
熟練のアーティストとハイクオリティーなターコイズの相乗効果が、このジュエリーの存在感をどこまでも高める。そんな唯一無二の作品となっているのだ。
2000年代に入ると、ジュリアン・ロバトはさまざまなアクシデントに見舞われ、ジュエリー製作から遠のいてしまった。それ以前の、技量においても、使われるストーンのクオリティーも最高の状態での作品は、いまでは貴重なものとなっている。
2018年に惜しくも亡くなってしまった巨匠、ジュリアン・ロバト。
モダンで気品を感じさせるその作品は、シンプルながらも、一目で彼の作品とわかる強い個性を宿している。これはネバダブルーの極上の石を使った作品。
注)茶色の革紐から黒色の新品皮紐へ交換しました。より一層、エレガントになり服に合わせやすくなっております。
■カテゴリ: | Pendant |
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■作家: | Julian Lovato |
■産地: | Nevada Blue |