同じものは1つとない。
所有する“魅力”に惹かれ続けて 中野 光章 氏


インディアンジュエリーに興味を持ったきっかけは、社会人1年目に先輩の影響で。先輩のリングに惹かれて同じインディアンジュエリーのリングをオーダー。完成したのを見ると若干バランスが違い、先輩のよりシャープにカッコよくなっていました。聞くと台座からハンドメイドで作っているからすべてに個体差があるとのこと。ナチュラルのターコイズも同様で、同じものは1つもない。そんな1点物のジュエリーを所有する喜びを知り早24年。未だにその魅力に惹かれ続けています。




小寺さんとの出逢い


20年近く前、まだ私が新宿店のセールス時代、インディアンジュエリーの名店が軽井沢にあると知り友人達と訪れたのが最初です。まず小寺さんのオーラに圧倒されました。インディアンジュエリーのオーナーといえば、アメカジかファッションに興味がない方がほとんどな時代、小寺さんは<ジル サンダー>のカットソーにインディアンジュエリーを合わせていて当時からとにかくお洒落でした。その時自分が持っている一番いいバングルやリングを身に着けて行ったのですが、小寺さんが見せてくれるバングルやリングはその数十倍良くて、こんな店があるのかと衝撃を受けました。憧れの作家の作品が非売品ではなく値段がついて買うことができることに喜び、興奮したのを今でも覚えています。昼に頭を冷やすために近くの腸詰屋でビールとホットドッグを食べて、覚悟を決めてマッキー・プラテロ(以下:MP)のスパイクリングとフレッド・ペシュラカイ(以下:FP)のローンマウンテンがついたリングを買いました。帰り道、友人が運転する車の中でずっと手に入れた2つのリングを眺めていました。スカイストーンで購入すると、小寺さんが名刺の裏に購入した作家やターコイズの鉱山名を書いて渡してくれます。それが保証書のような存在になり、念願のスカイストーンで買うことができた感動を一層膨らませてくれました。


リングをなくし、小寺さんのやさしさに触れたあの日


しばらくして、新宿駅からタクシーに乗る際にFPのリングを落としてしまいました。約束を断って泣きそうになりながら新宿駅に戻り散々探したのですがどうしても見つからず、ショックから立ち直れないまま小寺さんにメールをしました。「またお金を貯めてFPの作品を買いにいきます」と。すると多忙なはずの小寺さんが当時スカイストーンにあったFPの作品をすべて、1点ずつ写真に撮ってくれて「それは残念でしたね。この写真を見て元気出してください」と返信してくれたのです。小寺さんの秘蔵のFPコレクションはその写真自体が貴重で財産です。そんな大切な作品の写真を送ってくれた小寺さんのやさしさに触れて涙が出るほど嬉しかったです。
その後、MONOマガジンのインディアンジュエリー特集でインディアンジュエリーをお洒落に着けている人という編集者の問いに小寺さんが私を推薦してくださり出演しました。それは私がインディアンジュエリーファンとして最初にメディアに出たきっかけで、その経験があったからこそ今まで数多くのファッション誌に取り上げていただいたり、インディアンジュエリー企画を監修させていただくまでにつながりました。現在ファッション業界でも私のインディアンジュエリー&ターコイズ好きは広く知っていただいていますが、その第一歩は小寺さんに作っていただいたのです。感謝しかありません。


ちなみにFPのリングは、2012年にようやくブルージェムターコイズがついたリングをスカイストーンで購入できました。



本当に良いターコイズはお金だけでは買えない


スカイストーンといえばまずターコイズのリングが有名です。小寺さんが「こうだったらもっといいのに」と感じたリングへの探求心から自身での制作をはじめられました。特徴はリングにセットされたターコイズのクオリティの高さ、そして地金の厚みと存在感、着け心地の良さ。ゴツいリングでも着け心地の良さは別格で、今までインディアンジュエリーにしか興味がなかった私が日本人である小寺さんのリングしか身につけなくなるようになったほどです。ターコイズは普通ならお店のオーナーがプライベートコレクションにしたり、非売品として展示されているような手に入れることが難しいクオリティのものが、スカイストーンのリングにはセットされています。良いターコイズはお金を出せば買える世界ではなく、アメリカの重鎮達からも認められた小寺さんが、長年信頼と評価を得たからこそ秘蔵のターコイズを手に入れることができるのです。



ナチュラルかどうかを見極められる目を持っていること


私は2017年に世界中から10万人近くが集まると言われている歴史あるサンタフェ・インディアンマーケットに行ったのですが、そこで小寺さんは日本人作家としてサンタフェで一番歴史が古い有名ギャラリーでトランクショーを開催して、大成功を収めました。目の肥えた愛好家たちが日本から来た小寺さんの作品を嬉しそうに購入している姿は目に焼き付いています。小寺さんは過去にも90年以上続くそのマーケットで日本人として唯一審査員を経験しています。セットされたターコイズがナチュラル(天然)か加工したものかを見極めることを日本人の小寺さんが任されたことは、すごいことだし誇りに思います。



バーニーズ ニューヨークに出店


2013年より定期的にバーニーズ ニューヨーク各店でスカイストーンのポップアップストアを開催しています。期間中は小寺さん自らフロアに立っていただきお客様に直接インディアンジュエリーやターコイズの魅力を紹介していただいています。当社でインディアンジュエリーやターコイズを扱うならば、一番の店と組みたい。そう考えるとスカイストーンがベストです。今までインディアンジュエリーやターコイズに興味がないお客様が、小寺さんの説明や作品の魅力から興味を持って今では毎回楽しみにしていただいていることも多いです。普段は軽井沢でしか目にすることができない作品をバーニーズ ニューヨーク各店でお客様が目にして実物に触れていただけることは、インディアンジュエリーファンの一人としてこの上ない喜びです。



※ 写真は以前に撮影したものです。




バーニーズ ニューヨーク
アドバタイジングチームマネージャー

中野 光章 氏


大学卒業後、1996年バーニーズ ジャパン入社。現在は主にHP、SNS等自社メディアを担当するアドバタイジングチームを統括。インディアンジュエリーとヴィンテージウェアに特に造詣が深く、ファッション誌の企画構成も手掛けている。座右の銘は「倒れる時は前のめり」と「インディアンジュエリーは出逢った時が最安値」。

私の逸品

一生愛し続ける理想の
ローンマウンテンリング。
別名『エレベーターでお婆さんに
急に撫でられた、オーラ溢れるリング』


石を追い求めて辿り着いた
“ここにしかない”価値 T.T. 氏

ネイティブアメリカン文化への憧れ


私がインディアンジュエリーに興味を持ったきっかけは高校生の頃です。当時、かなり自由な校風で有名だった高校に通っていたこともあり、服装も自由、当然身につけているジュエリー等の制約も一切ありませんでした。


その頃はシルバーアクセサリーというよりは、どちらかというと主に石やネイティブアメリカンの文化に興味がありました。ターコイズはもちろんですが、珊瑚やバッファロースカル、ウォーボンネットなんかに惹かれていました。親友のひとりが実際にインディアンリザベーションに行ってきた話などにも触発されて、7世代先の子孫のことを考えて行動するインディアンのように生きないとダメなんだ!と思うようになったのを覚えています。


普段リングはつけても2つか3つ。バングルも重ねづけはしませんが、今日は撮影なので全部着けています。

卒業後は、そんな仲間達と一緒に地球の未来を考えよう、農業をやって地球を守ろうなどと、実際には本質的な事の片鱗すら解っていないけれど、単純になにかやらないといけない。と、そういった妙な使命感に駆られて、サブカルチャー的な映画作品の自主上映会を開催したりしていました。その中には「地球交響曲」や「ホピの予言」などがあって、その時に知り合ったのがホピの長老であるマーティン・ゲスゥイスマー さんやデニス・バンクスさんです。

特にマーティン・ゲスゥイスマーさんには大学での講演などもお願いして随分お世話になりました。ご一緒させて頂いた彼はやはりトラディショナルな装いが様になっており、純粋にカッコいいと思った事から、数日後には、下北沢でホピのジュエリーを買い求めました。


ナバホの儀式を受けて


その後、そのような繋がりの延長線上でナバホ族のメディシンマンの方が来日して、ある場所でスェットロッジという儀式を行うというので、それに参加しました。大きなファイヤーピットで熱された岩石を柳の枝と革で作った小さなテントの中に入れ、セージを煮出した水を掛けてサウナ状態で行う儀式です。

これがかなり厳しく2時間以上しっかりと行うので、意識は朦朧となり最後は完全に気絶していました。しかし、その後の体感は素晴らしいものがあり、その瞬間にやっぱりナバホ凄いんだ!といった単純な展開に結びついたんです。

その出来事があってからは積極的にナバホ族のジュエリーを集め始めるようになりました。本当に短絡的すぎて笑えますね。当時は、まだフレッドハービーでもペシュラカイでもナバホといって売っていたようなダメな時代だったのですが、それでもいくつかの良いモノというのは存在していたように思います。

私が買って身につけていたもので今でも手元に残っているものはひとつもありませんが、マーク・チーのバングルやジュリアン・ロバトの3連セッティングのリングは持っていたように思います。


都会の喧噪の中だからこそ、ナチュラルなターコイズに自分の心をチューニングしていきたいと思っています。

小寺さんとの思いがけない出会い


その後、仕事の関係でサンノゼで働くことになり、ちょっと足を伸ばして現地でインディアンジュエリーを買う事も出来ました。また、国内でもある程度インディアンジュエリー業界らしきものが形成されて来てからは、やっと鉱山や作家メインでのコレクションを始めるようになりました。

とはいえ、例に漏れず雑誌の情報や特定の店の情報に踊らされて、結局本当に自分が欲しいものでは無く、みんなが欲しいというものを買うようになっていたと思います。その頃から、インディアン系のムック本にちょくちょく登場していたメガネを掛けた浅黒い日本人のターコイズディーラーの方を見かけるようになりました。もちろん小寺さんです。ただ、その頃にはもう相当ターコイズやジュエリーに懲りていた頃でしたので、極力近づかないようにしようという気持ちしかありませんでした。

そして数年後、なんと私の妻が知らない間に、軽井沢にあるスカイストーントレーディングに出入りしており、スペシャルなナンバーエイトやローンマウンテンを見せて貰っている事が判明したんです。

ある日、ウキウキとマルコ・ビゲイのローンマウンテンがついたリングをして出かけようとしたときに「軽井沢にはもっと凄い石がある。」という一言を伝えて来ました。その瞬間には、へぇ。と相づちを打ちつつも、知っているよ。あなたが言いたいのは、あの店ではなく、あっちの店でしょう。と、心の中で何度も繰り返しながら、その日、一日はマルコ・ビゲイのリングを眺めても高揚感ゼロで過ごしました。

そして運命は銀座のバーニーズ ニューヨークでついに小寺さんとの出会いをもたらしてくれるのです。


他とは違うクオリティーを実感


今では、自分でも驚くほどに、「コデラー」になってしまっている私ですが、やはり元来、作家よりも石を追い求めていた自分にとっては、小寺さんが持っている石のクオリティーと安心感は他のお店には無い、代えがたい価値なのだと思います。

また、私が好きな作家でもあるマッキー・プラテロやアーニー・リスターとの相性も抜群といえますし、なにより着け心地が良く、石の良さを隅から隅まで知り尽くしているからこそ生まれてくる、作品としての存在感が素晴らしいと感じています。


小寺作品は、ほぼ毎日着けていますが、皆が言うように「石を追い求めると最後はコデラーになる。」という事を実感している日々ですね。




起業家

T.T. 氏


IT、ファッション、飲食関連ならびに文化保全事業を中心とした企業や団体の設立、運営を行う。学生時代にネイティブアメリカンとの交流を通じてターコイズやインディアンジュエリーへと傾倒していく。「本当に力のある良い石は自分が選ぶのではなく、石によって自分が選ばれるもの」という教えに従ってコレクションを広げてきた。

私の逸品

和を感じさせるローンマウンテン金継ぎリング。
当初は白く曇った色合いだったのが、使い込むに従って透明感と艶を増した不思議な石。


悠久の時と熱き思いを
詰め込んだ無二の存在 持田 慎司 氏

待ち焦がれていた出会いは突然に


インディアンジュエリーに興味を持ち始めたのは、20代の半ばごろ。ライフスタイル誌の編集者だったその頃の私は、担当していた媒体でインディアンジュエリーを推していたタイミングだったこともあり、自分にはどんな作品が似合うのかを模索している真っ只中。ただ、未知のジャンルということで、めぼしい作品をいくつかにまでは絞り込んだものの、購入に踏み切れずにいました。


そんな気持ちを察してか、後の妻となる当時の彼女がクリスマスにグリーンがかったターコイズのついたバングルをプレゼントしてくれたのが、MY FIRST インディアン&ターコイズジュエリーです。丁寧にスタンプが打ち込まれたクラシックなその作品は、10年以上たった今もジュエリーボックスの中で文字通り燻銀の魅力を放ち続けています。


スカイストーンの一番の魅力は、なんと言っても石本来の良さを最大限に引き出しているトコロ。

「おっかなそうな人だなぁ」


初めてインディアンジュエリーを手にしてから数年後、取材のためにバーニーズ ニューヨークの銀座本店で行われていたスカイストーンのポップアップショップを訪れました。それが、小寺さんとの初めての出会いです。当時、恥ずかしながらまったくと言ってよいほど小寺さんのことを存じ上げなかった私が初めて彼に抱いたのは、「すんごい日焼けしてるし、髪長いし、指にいっぱいごっついターコイズ付けてるし……、おっかなそうな人だなぁ」という感想。ちょっとビビりつつターコイズやスカイストーンのジュエリーの魅力について尋ねる私に熱っぽく語りかけてくださった小寺さんは、最後に貴重なご自身の名著『完全版 ターコイズ・ブック』をくださいました。そして、「いつか石に興味が湧いたら軽井沢まで遊びに来てくださいね」と。


その後、軽井沢のスカイストーンを訪れるまでに数年かかってしまいましたが、そこで出迎えてくれた小寺さんはあの頃よりも益々ただならぬオーラに磨きがかかっていて……、勝手に感動の再会を予想していた私は、またもビビってしまったのです。そんな私に優しく貴重なマッキー・プラテロの秘蔵コレクションを見せてくださったり、さらに同行していた妻や息子たちのことまでさり気なく気遣ってくださったりと、見た目とは裏腹(小寺さん、失礼ばかり言ってごめんなさい!)な優しいお人柄に触れることができたおかげで、緊張も少しずつほぐれしばし歓談。そんな至福のひと時が、間違いなく私が“コデラー(小寺さんファンの通称)”としての道を歩き出すきっかけとなったのです。


ターコイズの魅力に首っ丈


記念すべき初のスカイストーン作品購入の場となったのは、期せずして小寺さんと初めて出会ったバーニーズ ニューヨーク銀座本店で行われていたポップアップ。そこでインディアンジュエリーのリングをしげしげと眺めていた私に、1973年に採掘された希少なストーミーマウンテンターコイズを「これは絶対に持田さんに合うと思いますよ」と悪魔のようにささやきが……。数日悩んだ結果、銀座本店を再訪した私を見るや「やっぱり来ると思ってましたよ」と優しく声をかけてくださったのです。おそらく、小寺さんにはわかっていたんでしょうね。私が丸みのある三角にカットされたストーミーマウンテンに呼ばれていたことが。それが、スカイストーンのターコーズリングに首っ丈になった、始まりの始まりです。


小寺さん自身が機械式時計の愛好家ということもあり、腕時計との相性が良いのも魅力です。

男性もサラリとビッグターコイズ時代到来!?


職業柄、最新のファッションネタに触れる機会は多いのですが、最近とある新聞で“男性のジュエリー市場が好調である”という内容を目にしました。この記事を読んで、ダイバーシティやジェンダーレスといった流れの勢いを感じるとともに、さまざまな垣根がなくなり、逆にいろいろな価値観がよしとされた今だからこそ自然発生的にこういう動きが出てきたんだろうなぁと、つくづく感じたものです。そしてこれは、全国のコデラーたちにとってまさしく朗報。いまは、まだまだ大きな石付きのリングをする男性を街中で見かける機会は少ないですが、もしかするとそう遠くない未来、男が大きなターコイズを身に付けるのが当たり前のようにクールとされる日が来るかもしれません。そんなステキな日がいつか訪れることを夢見て、この大きくて青くて、そして世の中に二つと同じものがない石をこれからも蒐集していきたいなぁ、としみじみ思う今日この頃なのです。





フリーランスエディター

持田 慎司 氏


ラグジュアリーライフスタイル誌『LEON』の編集を経て、2016年に独立。現在は数々のファッション&ライフスタイルブランドのブランディング、カタログおよびWEBサイトのディレクション&編集を行う。ファッションはもちろん、車や時計、インテリアや食まで、興味の範囲は無限大。二児の男の子に囲まれ、日々子育てにも奮闘中。

私の逸品

小寺さんのプライベートコレクションだった、珠玉のローンマウンテンリング。
22Kによるミニマルなデザインが、ターコイズの美しさを引き立ててくれます。
なんとも縁起の良い、末広がりな石の形もお気に入り。

WISH LIST
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