その高潔なスカイブルーが、現代の名工の手により日の目を見る。
楕円形のこの石も他の石と同様、以前からスカイストーンで所有していたもの。さまざまな巡り合わせを経て、今回オリジナルジュエリーとして日の目を見ることとなった貴重な石のひとつだ。
初期のローンマウンテンには僕が知る限りでは4人ほどの「カッター」が存在しており、誰がカットしたのかは石の背面(バッキング)を見ればわかる。中でもこの石は、「石と対話できる」と言われた信頼できるカッターがカッティングしたものとされている。
正面から見るとやや変形の楕円形になっているが、これはもともとの石の形状を生かした「フリーバロック」というカット。人がきれいと思うかたちに無理やり当てはめるのではなく、カットする中で自然に削られていく部分だけを削ぎ落とした、いわばターコイズがなるべくしてなったかたちにしたということだ。
色が変わりにくく長く付き合えるというのもまた、ローンマウンテンの特徴と言える。もともと非常に割れに強く、マトリックスの入り方によっては耐久性が落ちることもあるが、この石にはそういったネガティブな部分が一切ない。ターコイズとしての完成度の高さは、現在スカイストーンが持つローンマウンテンの中でも最上級に位置する一品だ。
指輪のデザインは、石を最大限引き立たせるために考えられた「ヤスベゼル」と呼ばれるもの。ベゼルに直接石をはめ込んであることで、石自体のナチュラルな印象を損なわない。
1本ずつ斜めに削り出したツメは、並行な角度と削る大きさの多さから非常に難しい技術を要するが、丸い石を斜めのベゼルで固定するためにはこの形しかなかった。
ちなみに、このアシンメトリーな石を指にはめる時には、手の形に合わせるのがセオリー。薬指につける際には尖った方を小指側に、人差し指につける際には親指側につけると、指が長く見える。
インディアン・ジュエリーには長い歴史があるが、それらは流行と衰退を繰り返してきた。チャールズ・ロロマが流行り、コディ・サンダーソンが流行る。そして価値が高まり廃れていく。
スカイストーンでは、そういった流行に左右されないようなジュエリーを作るために、オーナーの小寺自身が欲しいと思うジュエリーを模索し続けている。
長い期間つけていても石が陰らない。そんな状態を指して「石が裏切らない」と言う。この指輪もまさに裏切らないジュエリーだ。大切な人への贈り物や、信頼する誰かへの絆の証として、きっと身につける人の気持ちや人生を豊かにしてくれるだろう。
小寺康友がこれまで秘蔵してきたヴィンテージ・ターコイズの数々。世界的にも貴重なターコイズ・コレクションだが、そのなかでもクオリティーが高く、現代のファッションに合わせて身につけてもらいたいと思うターコイズを厳選し、「2020リザーブドエディション」として、特別に製作したリングを紹介する。
紛うことなき真実の青の輝きは、主にのみ許された神の光。その高潔なスカイブルーが、現代の名工の手により日の目を見る。現存する最上級のローンマウンテンの輝きを、手中にできる機会は今後もうないだろう。
■カテゴリ: | Ring |
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■作家: | Yasutomo Kodera |
■産地: | Lone Mountain |
■サイズ: |
石の大きさ:最大縦 約29mm×横15mm リングの重さ:約33g サイズ:22.5号 最上クラスのクオリティを誇る大ぶりなローンマウンテンが魅力です。 |