美しい宝石は光っている。当たり前のことのようだが、ほかにはない強い輝きを発するのは、最上級の宝石だけだ。このパイユートのターコイズも強い照りがあり、マトリックスも、パイユートでは例がないほど細かいスパイダーウェブが美しく出ている。この石と出会った時には、一目でいい石だとの直感があった。
パイユートは、ネバダにある鉱山で、有名なガドバー鉱山に隣接している。ガドバーからほんの少し歩くと崖のような場所があり、そこがパイユートなのだ。ガドバーはもちろんいいターコイズが出ることで知られる。ほとんど同様の環境にあるパイユートもいい石が出る条件はそろっていた。
しかし、パイユートはほとんどの石が染められているともいわれている。15年以上前に、入手した時、素晴らしいナチュラル・ターコイズだと思ったものの、念のためにそのまま保管しておくことにした。
染めなどの加工をした石だった場合、ロウが浮いてきたり割れたりといったことが起こる。しかし、この石はそうしたイレギュラーな変化は起きなかった。やはり、最初の見立てどおり、ハイクオリティーなナチュラル・ターコイズなのだ。
パイユートはほとんど脈を採り尽くしたといわれ、これから新たに掘り出される石が出てくることはないだろう。こうした、深い青と美しいスパイダーウェブが魅力のハイグレードなパイユートは、今後、ほとんど出てくることはないと思われる。
パイユートの石で平行四辺形なものが多いのは、大きな石で出たものをスライスして切ってしまっているから。しかし、何個かいいナゲットが出ているはずで、この石はそんなナゲット状で出た石のひとつだと考えられる。
リングのデザインは、円形の石の形を生かしてシンプルなベゼルを合わせている。石の表面は平らになっており、それもシンプルなデザインにしたひとつの理由だ。
ハイドームなど、石の表面が高いものでは、リングにしたときに存在感が出る。しかし、このような平らな石は、存在感はあまりないものの、クラシックなスタイルを連想させる。ヴィンテージのインディアンジュエリーは、こうした石が使われていることが多い。
そしてシンプルなスタイルは、このターコイズの魅力をより高める役割を果たしてくれるだろう。
小寺康友がこれまで秘蔵してきたヴィンテージ・ターコイズの数々。世界的にも貴重なターコイズ・コレクションだが、そのなかでもクオリティーが高く、現代のファッションに合わせて身につけてもらいたいと思うターコイズを厳選し、「2020リザーブドエディション」として、特別に製作したリングを紹介する。
ランダーブルーと見紛うような、美しいスパイダーウェブと濃いブルー。他では入手不可能なパイユートの極上品は、15年以上手元においてイレギュラーな変化がないことを確かめた。
■Category: | Ring |
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■Artist: | Yasutomo Kodera |
■Origin: | Paiute |
■Size: |
19号 石の大きさ:最大縦 約26mm×横19mm リングの重さ:約29g コインシルバーと同じ成分の銀板を叩いてタガネとヤスリでリングを手作業で作っています。 |